を取ってもらった。
前歯を治した直後なので麻酔が効いて自分の歯じゃないような部分と、確実に自分の感覚がある部分が入り混ざり変な感じ。
やってもらいながら考えた。
当たり前だけど、この状況はとても無防備だ。
麻酔やら注射やら薬やら不気味な器具やら、何でも出てくる。
そしてただ上向きにイスに座り、口を開け、されるがまま。
(ある意味床屋もそうだな。首筋にカミソリ当てられる!)
「痛かったりしたら遠慮無く言ってくださいね」
とは言ってくれるものの、一瞬の痛みなどはなかなかタイミング良く訴えることは出来ない。
〜しょうがない、少々のことは我慢するか、と腹をくくる。
「相手を信頼しすべてを託さなければこの状況は成り立たないのだなぁ」
と妙に関心しながらされるがままだった。
先回は、
「今日はこの虫歯の根っこにある神経を抜きます。奥歯なので3本か4本あると思います。時間が1時間くらいかかります。また、麻酔を打ちます。よろしいですか?」
〜はい。お願いします。
「これが抜いた神経です。鶏肉の筋みたいですね。これが3本ありましたので全部抜きました。今日からしばらく痛いと思いますから痛み止めを出しておきます。何かご質問は?」
などなど。
「だからこそインフォームド・コンセントは大切だよな」
難しいことじゃないけど丁寧に手抜かり無く。その1つ1つがすべてを任せる信頼につながっていくのだから。
もし信頼が崩れたら?
ん?そうか、簡単だ。歯医者を変えればいい。
この数日、少々すっきりしない気分が続いていたのだけれど、考えの道筋が見えたようだ。
歯石が取れた歯のように、混沌としていた頭の中がだいぶ風通し良くなった気がする。
もちろん現実はそんなに単純じゃないけどね。