小学生の時だったかに読んだ記憶。
ツンドラ地帯の凍った土を苦心して鍬で掘り、食べるために植物の種を蒔き、しかし、ほとんど永久凍土だから少しも芽を出さない。さて、どうやって生きていこう?
何の話だったか、結末はどうだったか、他のことはほとんど何も覚えていないのだけれど、このエピソードだけは鮮明に覚えている。
「そんな無駄な事してどうするの?
いやいや、これを無駄と言ったらバチが当たる。ほとんど可能性の無いようなことにでも望みをかけてやるしかないんだ。
やっても無駄かもしれないけれど、それをしなけりゃもっと生きていけないもの。」
と思った(−そういう話の筋だったのかもしれない)事は忘れてない。
内部的にも、その周りも、もう少し大きな枠組みでも、ここでは相当な覚悟が要る。
だいたい移民し入植する時、バラ色の将来が約束されているような錯覚がつきもののようだけれど、しかし現実は想像からほど遠い場合がほとんど。その先は苦渋に満ちた困難の連続だ。
その昔からの凍った荒野が続いている。(あるいはかつては栄えた遺跡を発掘できるかもしれないが。)
凍土を融かし、木を切り、石をどかし、平らにし、耕し、…から始めなければならない。
ちゃんとした種蒔きが出来るところまでいったら感動ものだぞ、きっと。
一番の敵は凍った土ではない。凍った土に「融かす必要」を感じない理解しない人、もしくは風土である。あるいは制度かもしれない。
その敵に対して1人では決して太刀打ちできない。荷が重すぎる。だから精鋭な仲間が要る。
そして石の上にも3年。
ようやく、少しずつ周りに融ける気配が見えてきたかな。
「融かさなければ!」「これじゃダメだ!」と気がついたかな。
中学校とか小学校とか地域とか関連業者とか。
「融かさなきゃ」な気持ちが萎えないうちに動かし始めないと、またここら一体の地面が凍り付いてしまう。
で、誰がやる?
膨大なエネルギーが必要だよ。
みんな自分の畑が手一杯で、誰も全体見てないよ。
桃栗3年 柿8年 柚子の馬鹿たれ18年。
調べてみたら、柚の馬鹿たれは13年だったり15年だったり18年だったり20年だったり。
18年待てますか?
18年融かし続けられますか?
ま、それくらいのスパンで文化が育つのだったらとっても簡単なんだけど…。