8月
03
なのに、ずっとアブラゼミが鳴いている。
至近ではないが良く聞こえる。
一匹ではないようだ。
街灯が明るいんだろうか。昼間は暑すぎるんだろうか。何か気に入らないことでもあるんだろうか。
我が家の前の田んぼは、もう既に耕作していない。
そこら一帯が駅前の大規模商業施設開発のために区画整理に入っている。(といってもまだ亜炭坑充填工事真っ最中で商業施設建設は当分先の話のようだが…。)
だから、ここに越してきた頃にはやかましく騒々しかった蛙は今年はほとんど聞こえない。
子育中の近くを通るとけたたましく威嚇してきたケリももういない。
便利になることと裏腹に失っていく物は多い。
ファンタジエンのなかで、自分の希望が一つ叶う度に一つ自分のことを忘れていくバスティアンのようだ。
アブラゼミに壮絶な悲壮感を重ねてしまうのは考え過ぎかな。