9月
22
三物

先日TV(もちろん釣りビジョン!)を観ていて、興味深い事を知った。
マタギから伝わったとされる日本の伝統的な渓流魚釣法「テンカラ」のことである。

通常釣りは六物が必要といわれてる。竿。糸。針。錘。浮き(目印)。餌。この六つ。
しかしテンカラでは、もっとシンプルに削ぎ落とされて、竿。糸。針。の三物しかない。(針は毛針。鳥の羽を巻いた擬餌針だ。)
このことが、とても日本人的気質に合っているというのだ。

釣るために道具に頼るのではなく、不必要なものを極限まで削ぎ落としたシンプルな道具。
それらを使い、人の知恵と技術によって釣果を上げる。便利な道具や釣れるアイテムに頼るのではない。人が釣るのだ、と。

そう語っていたのは、愛知(しかも本拠地は名古屋東部丘陵地)が誇るテンカラ先生。本棚にその方の本があり、ずっと密かに憧れていたから余計すんなり耳に入ってきたのかも知れない。

道具でなんとかする方向ではなく、人の知恵と技を磨く方向。
モノではなくヒト

逆な話し。
今朝、目覚まし代わりの地上波TVから聞こえてきた。(寝ぼけてたから正確かどうか判らないけれど。)
旅ガイドの記載について、日本のもの(「地球の歩き方」ってはっきり言っていたなぁ…)は、写真や図解がたくさんあってとても判りやすいが、イギリス(?だったかなぁ?)のものは全て文字。写真はないらしい。このことについてのインタビューで(少なくとも)日本人ではない人の回答が良かった。
「今から実際に行ってこの目で観るのに、その前に写真で見たってしょうがないよ。」
なるほど。確かに。

これは脳内イメージの活発化と関連するような気がする。文字情報のみからイメージを膨らませ取捨選択し、その後実際に観て自分なりの評価を得る、という一連の行為を簡略化しない方が良いことの示唆と感じた。

私たちは、「親切であること」を求め続け、便利さに慣れ、人を磨くことを忘れ、いつの間にか日本人的気質がどこかへ行っちゃったのかな。
ヒトではなくモノは、少々味気ないと思う。