吹奏楽の指導
大切なポイントは次の三つと考えます。
コミュニケーション [自分と他人との関わり]→more
トレーニング [技術を磨き演奏スキルを高めること]→more
表現 [自分の発見とそれを知ってもらう喜び]→more
それぞれが大切ですが、三つのバランスもまた大切です。
つまり、表現するためにはトレーニングされた技術が必要ですし、トレーニングを上手く進めるためには、指示を正確に伝えたり、指摘されたことを素早く理解できたり、不具合を正直に申告したり、お互い助け合ったり、とコミュニケーションが大切です。
またいくら技術があってもそれが生かし切れなかったらもったいないですね。音程を合わせることが最終目的ではなく、何かを伝えるために音程を合わせる必要があるのです。
さらに、それらを実現する環境整備 [活動条件の整備]が必要です。→more
様々な課題を乗り越えて、充実した毎日の吹奏楽生活を手に入れましょう。
そして、本来の音楽の楽しさ素晴らしさを知り、人と繋がる幸せを知る。
アンサンブルをすることで演奏者同士が繋がり、さらに聴いてくださる方々と繋がっていき、人はひとりぽっちではないことを実感するのです。
もう少し詳しく
●コミュニケーション
スクールバンドでは「指揮者は絶対だから100%従わなければならない」と言われることがあります。
確かにそういった面もあるかも知れませんがそれには前提が必要です。信頼関係です。
そのためにお互いを知る必要があります。様々な関係の中で、メンバー同士、幹部といわれるリーダー達、パート内で、学年同士、もちろん監督、指揮者、顧問、コーチ、トレーナー…。
お互い黙ったままで信頼関係を構築するのは難しいですね。
理解を深めるためにはコミュニケーションが必要です。またそれらを円滑に行えるようにするための組織も必要でしょう。何せバンドは人数が多いですから。
もしかしたら、あまりその必要性を感じない方々もいらっしゃるかも知れません。
メンバーそれぞれは、立派な指導者の言う通りトレーニングをこなしていけば、多分間違いなく楽器は上達するでしょうから。
しかし、音楽の表現をきちんとしたいならば、コミュニケーションのノウハウは必要不可欠です。
そもそも表現とは自己の表出ですから、それぞれが表出するべき自己を持ち、表出する技術を持ち、他人から表出されたものを寛容に受容できる感受性が必要です。
さらには他への働きかけも重要です。もし周りにトラブルを抱えているメンバーがいたら力になろうとするようなことですね。他人事のまま、あるいは「あなたの勝手にすればよい」という一見物わかりの良さそうなことは、結局は自分自身の実現に反してしまうことに気が付くべきです。吹奏楽は一人ではできないのです。
楽器だけ達者でも、どんな音を出せば良いか判らなかったり、他人の音を聞く耳を持たなかったら、協働のアンサンブルにはなりません。「音が寄る」ことは難しいでしょう。
それこそ指揮者の言う通り音を出しさえすれば音としての破綻はしないかも知れませんが、演奏者それぞれの顔が見えない、それぞれの感情が表出しない演奏はつまらない。
吹奏楽はアンサンブルをしてなんぼです。音楽は表現しなければ意味がないです。出す音の根拠は「心」だと思うのです。
そのために日頃から自分の意見をきちんと他人に理解できるように表出したり、主張が違っていても一旦は人の話を受け入れる習慣を身につける必要があると考えています。
楽器の上達には直接関係のない事かもしれませんが、音楽という営みには必要不可欠だと考えます。
スクールバンドはここ忘れている場合が多いように見受けられます。とても残念です。
なぜなら、スクールバンドという教育の一環では、この事こそが一番重要なのではないかとさえ考えているからです。「音楽の営み」=「人の営み」だと思うからです。
●トレーニング
これは、迷うことなく練習。修行。
ここでは「指導者は絶対だから100%従わなければならない」が生きています。言われた通り最後までやりきってみないことには結果が出ないからね。
「私には無理だから」「これぐらいやれば充分でしょ」と思ってしまう場合が多いようですが、とてももったいない。「必ず出来るんだ!」と信じるところから始めて欲しいですね。
良く「リラックス」「脱力」を強調することがあります。その通りなんですが、誤解が生まれます。
本当に全ての力を抜いてしまったら人間立っていることすら出来ませんよね。
一方で、闇雲に必死に頑張りさえすれば良い、というわけでもなさそうです。緊張と緩和、バランスが大切です。
ただ消耗するだけにならないように、充分計画された正しいトレーニングを根気よく積み重ねることが肝要です。
伝統あるバンドはここがとてもシステマチックです。だから、上達が速く、出てくる音は素晴らしい。技術を持つということ、スキルが高いということ、素晴らしい。大切ですね。
しかし技術に溺れてしまったらもったいない。一番大切なのは音(サウンド)ではなく、音楽なのだから。
●表現
毎日一生懸命練習して楽器が上達してきました。音色や音程のコントロールも自在に出来るようになり音域も広がりました。
さて、次はどうしましょう?
私が学生のころ、よく言われました。
「勉強とは自分の回りに壁を作ることだ。そして表現とはその壁を壊して外に出ることだ。」
たくさん勉強すればするほど立派な壁が出来る。しかし壁を作っただけではダメで、それを壊さなければ表現にはならない。そうでなければ自分の思いが(壁の)外に出ることは不可能だから。
壁が立派になればなるほど壊すのは大変。もちろん勉強して壁を作ることは大変だが、壊すことはもっともっと大変。
既存の価値観を知ることと、それを凌駕して新しい価値観を創出すること。
ここに表現の面白さがありそうです。
ただいま構築中
まだまだ続きます。
しばらくお待ち下さい。
●環境整備
練習する場所の確保、時間の確保、資金の調達、楽器の調達、様々な調整、演奏できる場の提供、などなど、そんな下ごしらえが有ってこそ日常の活動が滞りなく進んでいくのです。
それが出来るのは、学校内では部員よりも顧問の先生の担当ですよね。
条件整備は案外見えませんが、実はもっとも大切でしかも一番大変です。
メンバーの皆さんは顧問の先生に感謝しなくてはいけないですね。