ある小さな漁港に行った。
休日で閑散としている。
風が冷たく強く岸壁で釣りをしている人すら見かけない。
湾内に10数羽の鴎が浮いている。
たぶんユリカモメとセグロカモメおよびオオセグロカモメだと思われる。
そこにウミウが飛来した。
強い風の中、なかよくぽかりぽかりと浮いているように見えた。
しばらく見ていて、一定の時間をおいて鴎が騒ぎ出す事に気が付いた。
鵜は、というと、そんなこととは関係なく潜って餌取りをくり返している。
何度かそんな状況をを見て、ハタと気が付いた。
小魚を捕って浮上した鵜にちょっかいを出し獲物を横取りしようと鴎が騒ぐのだ。
群れが下にあるんだろうが、鵜は一度潜ると必ず小魚を得て上がってくる。
上がったときにはまだ嘴で咥えているだけだから、鴎がめざとく見つけるわけだ。
何度かに1回くらい襲撃は成功する。
鵜は構わず次の獲物を探しに潜る。
また咥えて上がってくる。
エサの群れが大きいのか、鵜は飛来し少しずつ数を増している。
それを狙う鴎もいつの間にか数倍にふくれあがった。
しかし、鴎(上記のように3種類は確認したがどの種類も…)は一度も潜ろうとはしない。(もともと潜って魚を捕る習慣はないのかも…?)
全然自分で餌を採ろうとしないのだ。
咥えて上がってくる鵜を待って、出てきたところを襲撃するのみだ。
これは共存共栄というのかな。
それとも搾取というのかな。
なんにしても、何度横取りされても鵜はとっても辛抱強かった。
鵜匠のような人間だけでなく、他のいろんな動物にも獲物を横取りされる運命なのかしら。