居場所

というキーワードから想い描いたもの。 
日付は2010/11/12。初出はよく知った特定の人だけが読み書きする掲示板に書き込んだもの。(今回少し手を加えた。)

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例えば エデュケーションモール というのを考えた。

 子供達が大人に遠慮することなく思いっきり騒ぎ走り回れる広場を囲んで、テナントが並ぶ。その中には、例えばE**こども英語教室や公文やYAMA**音楽教室やKAWA*体操教室がはいってる。バレエ教室やヒップホップダンスも。学習塾も。ファーストフード店やお洒落な喫茶店があっても良い。
 もちろんその中核は真ん中にあるホールで、学校教育部活動から地域の社会教育に移された吹奏楽がエルシステマばりの音楽教育システムで各教室で楽器のレッスンや合奏のレッスンをしてる。
 そこにはお年寄りのデイケアハウスがあっても良い。もちろん幼稚園と保育園を統括したこども園も、小学生の学童保育もあり、大人のための文化教室があっても良い。読み聞かせの部屋があり、折り紙の部屋があり、「じゅげむ…」と競い覚える部屋があって良い。絵手紙や手芸教室だって良いのだ。そうしてそのモールは世代を超えた人たちが集う、さまざまな音や活気に満ちた場所になる。
 そこここの小さなスペースに数人の子供が入り込みレッスンが終わった後の談笑に花が咲いている。おばあちゃんに編み物教えてもらって彼氏へのプレゼントを編む女子高生。小さいこどもを預かる保育所では、吹奏楽の活動の終わったお姉さんに絵本を読んでもらいながら、ケアハウスのおじいちゃんにだっこされて、仕事帰りに迎えに来てくれるシングルマザーのお母さんを待つ。
 このモールは各テナントの内部で行われるそれぞれのアクティビティと、それぞれのテナントを結びながらそれら全てを包括するような大きなスペースを併せ持ったところ。一つ一つは完結しつつ全体も有機的に結びついている。

 そして月に一度、そこで小さな発表会をする。
 YAMA**の教室でのオーディションを抜けた少女が吹奏楽をバックにコンチェルトを演奏する。
 いつも街中で警察のお世話になっている少年がかっこよくテナーサックスを吹いて喝采を浴び、いつしかジャズプレイヤーを目指すようになる。
 家で引きこもっている少女は、家ではなくそこに入り浸るようになり、次第にその賑やかさと豊かさに感化されて社会化していく。

それは、その状態を維持する人たちの強い理念と粘り強い指導が必要だろうが、必要以上に出しゃばらず、そこにいる人たちのバランスで成り立つ。テナント同士もそう。シェアの奪い合いをするのではなく共存する道を探る。もしかしたら子育て支援室とかあると便利かも知れない。

ちいさなユートピアかな。ミクロコスモス。ビオトープかも知れない。
人と人がふれあって繋ぎあっていける時間と空間。
そんな場所があったらいいなぁ。

本当はそんな施設なんかなくても良いはず。普通の日常に溢れていなければならない光景だと思う。様々な、たくさんの、要素が入り乱れそれぞれが関係しつつお互いのバランスで成り立つ時間や空間。

それって、里山と同じかもなって思う。
人の手も入るけど自然は残り、そこで暮らす人が自然を踏みにじることなく利用しながら共存する。互いに補完し合いながら。
でも、今はそれを作為的にでも作り出さないと存在できなくなっている。関わり合いながら絶妙なバランスを自然に取ることが出来なくなっている。人も物も。

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