12月
05
修学旅行SP 3

2007年11月末修学旅行中の2年日誌に書き込んだものを若干補筆して公開します。

 移動中のバスの中。案外揺れるんだな。書きにくい
 時間が過ぎて飛行機の中

 
 吹奏楽の可能性について
 私は大きく3つあると考えています。

1)芸術性
2)大衆性
3)教育性

1)は音楽として純粋に極め本物を目指す事。よく吹奏楽はオーケストラの二番煎じという人がいる。確かにオーケストラの曲を無理矢理吹奏楽でやる場合が多いからそう言われてもしょうがないと思うこともある。
 しかし、吹奏楽には吹奏楽独自の可能性があるんだ。決して妥協の産物ではなく純度の高い音楽表現形態として機能できる。吹奏楽は「ガッコウのぶらすばんど」だけではない。みんながあまり知らないからと言ってやらないのはマチガッテイル。

 かつて私のバンドのために新曲を書き下ろす事が何度もあった。私自身のへぼい曲もあるけれど、すばらしい作曲家達が吹奏楽の可能性を十分に引き出したすばらしい曲を創ってくれた。
 いずれ近いうちにそういった曲をTSWで再演するつもりだ。さらにTSWの為に新しい曲を作って頂く事もあるだろう。その時にTSWは作曲家のどんな要求にも応えられるハイレベルなバンドになっていなければならない。なんと言っても世界初演になるのだからね。

2)は1)の「狭く深く」に対して「広く浅く」だ。
 もっともっとたくさんの人に音楽の楽しみを知って欲しい。吹奏楽っておもしろいね、って思ってほしい。こんな世界もあるんだ、と興味を持って欲しい。
 かっこよく言うとエンターティメント性だな。だからTSWはマーチングをやる。理屈抜きでおもしろく楽しいもの。ショーだね。イルカの曲芸やサーカスと同じかも知れない。でも、よりたくさんの人々に楽しんでもらう事はとても大切なことだ。
 1)だけでは一人よがりになる可能性がある。そうならないためにこのことはとても重要だ。ファンを増やす事にもつながる。

 どちらかというと1)を期待する人たちと2)を期待する人たちは少し違うから両方ともファンにしたいのだよ。
(前に書いたけど私は欲張りだからね)

そして3)
 これはまさに今君たちが実践している事。吹奏楽をやる事によって人間としてよりレベルを上げる事。でもこれは「高校3年間」とか「学校のブカツ」とか限られた時期だけのことを言っているのではない。一生続くんだよ。
 つねに心に音楽がある生き方。幸せをもっと増やす生き方。それを吹奏楽を通して実践して欲しい。

 この3つの可能性、それぞれ無限です。
 コンクールで金賞とったり全国大会に出る事も大切です。(本当に行きたい!!って思う)
 しかし、それらを超える吹奏楽の可能性を広げたい。君たちといっしょにそれをやりたい。目指したい。
 
 もしかしたら今の君たちはまだまだ自信がないんだろうな。
 でもね、普段の生活の中で、今まで見えなかった事や物が見え始めてきているんじゃないかな?
ちょっとした時、ふと気がつかない?
「あ、それじゃダメじゃん」とか「いまこうしたほうが良いと思うのに…」とか。
その一つ一つに自信を持とう。方向は絶対間違っていない。たまに判断ミスするときがあったとしてもそれが大切。次直せばよい。
 この旅行中でもいろいろ感じた事考えたあるんじゃない?それをゆっくり思い出してこれからの行動に活かしてください。
 

 まだ30分くらいある。
 飛行機の中で半分以上の人が寝てる。
 無理もないよな、と思うけれど。

 何度も書くけれど私にとってこの4日間は1日に目の朝が早くて大変だった以外、普段に比べれば数段楽ちんでした。
 毎日血糖値計っているけれど普段より数字は良くて快適ですし。
 …担任じゃないからだね。

 
 で、何が言いたいかというと、レベルの話。
 昔合奏の中で「相対」の話をしたのを覚えてる?

 仮にこの旅行中のしんどさレベルは皆同じだったとしても、普段と比べると人によって高く思えたり低く感じたりする。
 しんどさレベルと同じように考えて

 ・本気レベル
 ・能率度レベル
 ・理解レベル
 ・
 ・

  いろいろな言葉を当てはめてみてください。
 そして、その時その時のレベルがどんな感じなのか、自分はどの位置にいるのか、良く考えてみましょう。

 どうですか?
 まだまだやれそうですか?
 もう限界ですか?

 イキナリ無茶はしてもダメだけどレベルを上げていかなければずっと低空飛行のままだよね。すこしずつレベルを上げよう。

 いつも言うけれど「吹奏楽部は学校のリーダーにならなければいけない」。個人としてももちろんだけれど、団体・集団としてのリーダーになって学校を引っ張っていく使命を持っているのが吹奏楽部。なんと言っても学校の看板背負って街に出て音を出すんだからな。学校の顔だ。

 ある人とお互いの前任校の話をしていてやっぱり強くそう感じた。
 その前任校は吹奏楽の世界では超一流の学校なんだけれど、その部員達はやっぱり学校のリーダーだったという話だ。クラスでも活躍するし卒業してもそう。ずっと続くんだね。

 今の君たちはもうすでにはじめの一歩を踏み出して進み始めている。後戻りは出来ない。
 この飛行機が飛び始める時のように。滑走は終わって少し空宙に浮き始めている。あとはどんどん高度を上げていくだけ。あのぐいぐい昇っていく感じ解るよね? シートベルトして席を立てず少し不自由だけど高く上昇して安定するためには必要な事。ここでエンジンの力が出せなかったら飛行機は落ちてしまう。

 気を抜かず、力を出し続けよう!
 私もやるよ。君たちがいるかぎり。