12月
02
忘れ物を取りに

職員駐車場まで行った。
天気が良いので、少し歩こうと思い遠回りして公園をぐるっとしてみた。

向こうの方で、期末試験を終えて早く下校してる女子中学生が二人、ご年配な男性につかまっている。
話をしながら私のほうをちらちら見るので近づいていった。何か悪いことではなさそうだけど、少し困った顔をしている。

「どうしました?」
「電話をかけてくれんかな?」
そうか、電話貸して、と頼んでいたのだ。
中学生に「ありがとう、あとはやるから大丈夫」といって無事解放。
再度「どうしました?」
「病院行って、歩いて帰ろうと思ったけど、やっぱりダメだった。迎えに来てって電話をかけたいんだ。」
「もちろん。良いですよ。番号言っていただけますか?」
相手の方が出て「もしもし?突然すいません、替わりますね」

お迎えの連絡とれたみたいで、良かった良かった。
「電話代です」
「そんなの要りませんよ」
「気持ちです」
「えぇ。…分かりました。それではお気持ち10円だけいただきます」

ぽかぽか暖かい日だまりの中、路端のフェンスに座ってお迎えを待つご老人。
これで一安心か。少しは役に立ったかな。

もし、私が遠回りの散歩しようと思わなかったらこの出来事はなかった。そもそも忘れ物しなかったら…?
この世の中、何処でどう繋がるか、不思議だな。