夕食を終え、星を見ながらくつろいでいた。銀河が素晴らしく、綺麗に夏の星座が見えていた。見えすぎてむしろ大三角形は無数の星々に埋もれてわかりづらいくらい。
隣のサイトでは、親戚の集まりか、親しい友達家族か、あるいは会社の懇親旅行か、複数の家族が一緒に楽しんでいた。
そのうち、小学生くらいの女の子と男の人が、寝ころんで星を見だしたようで、会話が聞こえてくる。全く姿は見えないが声だけ聞こえてくる。想像すると、父娘ではなく、普段は会うはずのない二人のような感じがした。
「わぁ、天の川すごーい!」
「あれは、はくちょう座。わかる?」
「うん。」
「あの明るいのはデネブって名前の星なんだよ。」
「知ってるー。習ったぁー。」
「そのデネブの横に北アメリカ星雲っていう赤い星雲があるんだよ。」
「へぇー。見えるの?」
「ううん、写真に撮るとね…」
特に聞き耳立ててたわけじゃないけど、たまに聞こえてくる単語がどんどん展開していくのが面白い。
「ブラックホールっていうのはね…」
「人工衛星ってのはね、ずっと落ち続けて…」
「ロケットの燃料はね…」
「宇宙はどんどん膨張していてね…」
もう20年近く前の夏休みでの話なので、どんなだったか詳しくは忘れてしまったけれど、難しい専門用語が容赦なくどんどん飛び交う興味深い説明だった。
奥只見のファミリーキャンプ場の一角で寝っ転がって星を見ながら、ほろ酔いのオトナと小学生の女の子がする会話じゃないよな、と思いながら、でも、とても知的でなんだか嬉しかった。
夕まずめにルアーで巨大なマス(と思われる)を掛け損なった感触(ブレットンが弧を描いて空中を20mくらい飛んだ!)を悔しく思い出しながら、その悔しさを溶かしてくれるように微笑ましかった。
その女の子、もしかしたら今、宇宙飛行士目指してるかも知れないぞ。
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