されど、せろり。
ゴールデンレトリバー、雌。
本名 Aida(アイーダというらしい。血統書にはそう書いてある。)
ボールが大好き。
フリスビーも上手い。リトリープ(持って帰ること)も激早。だけど口からの離し方に美学があるらしく、気に入った離し方でないと機嫌が悪い。競技会も出たことがある。人の投げるのが下手だと、「取ってやらんもんね」と、落ちたディスクと投げ手を見比べる。
人の話はほとんど理解しているようにみえる。
どんなに夜遅く帰ってきても必ず玄関で出迎えてくれる。嬉しくて地団駄踏む。
不用意に「さんぽ」というキーワードを声に出してしまうととんでもない目に遭う。行くんじゃなかったの?とうるさい。
一方、「ゴメンね、お留守番してて」というと、それまで振り回していた尻尾をだらんと下げ、ふてくされたようにどたっと寝そべって一点を見つめ目を合わさない。
時間には厳しく、ご飯の時間をきっちり守る。忘れていると催促に来る。お願い攻撃だ。
呼ぶとどこにいてもすぐ飛んできてじっと目を見つめ「なあに?」と応える。
泳ぐのが大好き。始めて矢作川の上流で川遊びしたとき、歩いているつもりなのにいつの間にか泳いでいることに気が付いたときの顔。「!!!!!!」「あれ?おもしろいぜ!!」忘れられない。
全ての旅行は同行。もちろんキャンプも。
運転席と助手席の間が指定席。立ったり座ったり寝そべったり。流れゆく景色をずっと見ている。
車旅の夜は「私の仕事です」と寝ずの番をする。だから随分疲れる。
砂浜では腐った釣り餌のアミエビを、山では鹿と思われる糞を背中に大量に擦り付け得意そうにうっとりとする。
脱ぎ捨てた靴下も大好き。だから介助犬のように帰宅した私の足から上手に脱がしてくれる。しかし洗濯したては要らないんだな。
トイレの失敗は生後40日ぐらいで家にきた当時からほとんどない。
音響シャイで雷や花火は全くダメ。近所の子供の花火でも「お願いですから助けてください」と言う顔をする。そして自分のハウスに逃げ込む。だから町の伝統的な警固祭りで火縄銃が出ると逃げ回ってガタガタ震えてる。
しかし、手足を触られるは大嫌い。爪切りなんてもってのほか。
耳掃除も嫌い。やろうとすると唸り歯をむく攻撃性もある。
気が強く、甘えっ子。
悪戯を咎められると、知らんぷりをしてそそくさと自分のことを始める。
我慢強く、様々考えてる。
ベランダに座り込み外をじっと眺め、鼻をふんふん鳴らし、考え込む。哲学する犬だ。
しかし、もうこの世にはいない。
2010年5月14日午前10時、天に召された。肝臓癌だった。
私と妻の介抱の中、息が止まりやがて動かなくなった。
知らなかったこと、気が付かなかったこと、忘れていたこと、たくさん教えてくれた。
疑うことを全くしなかった。
もちろん裏切ることなんか皆無。
絶対的な信頼感。
私の激動の10年を共に生きてくれた。
支えだった。
楽しかった。
ありがとう。
突然のコメント失礼します。
先日の記事でもしかして、と思っていましたが…
そうですか、残念です。
私のような若輩者が言うには少し、軽いのかもしれませんが…
せろりは先生やご家族、いろんな方に愛されて幸せだったのだろうな、と思います。私は会ったことはありませんが、お話を聞かせていただく度に、頭の中で様子を描いていました。
1度でもお会いしたかったので本当に悲しいです。
ご冥福をお祈りします。
乱文失礼いたしました。
コメント、心からありがとうございます。
また、色々ご心配いただいた人たち、メール下さった人たち、このことについて悲しく思ってくださった人たち、たくさんの皆さんありがとうございます。
せろりは皆さんの暖かいお気持ちを受けて、とても幸せな犬だったと思います。
耳を伏せ、目を細め、口を少し開いてベロをチョロンと出した、心底嬉しそうな顔が心に浮かびます。
車のキーのカチャカチャ。
お菓子の袋を触ってパサパサ。
ご飯の電子ジャーの蓋が開くコポッ。
玄関の格子戸に付いている小さな鐘がちりん。
インターホンのピンポーン。
郵便屋や新聞屋のバイク。
大好きな友達の車。
遠くの雷や花火。
人が着替える時。
その他諸々。
必ずアクションの起こるきっかけがあっても、何のアクションも起こらない寂しさ。
慣れるまでしばらくかかりそうです。
最後のしんどい時期をずっと一緒にいてお世話できたから、支えにはなってあげられたかな、と思っています。