8月
07
花火が鳴ると

胸がきゅーっとする。
大きな打ち上げでも、小さなロケット花火でも。

鳴った瞬間、
「大変ですぅ!」
と情けない顔して部屋の隅の暗いところでガタガタ震えるハズなのに、そいつがいないから。
鳴った瞬間「あ、大丈夫か?」と思うのとほぼ同時に「あ、もういないんだ」と再確認する。
その度にきゅーっとする。

苦しくて寝られないときの顔とか。
もう、最後の嘔吐する直前の、すがるような、甘えるような澄んだ眼差しとか。
最後の一息を深く吸い、ゆっくりゆっくり吐いてそのまま止まったときのこととか。
音が聞こえる度にそんな光景が頭をよぎる。

まだしばらく花火の季節は続くから、きゅーっとするのも続くのだろう。
ま、その度に思いを深めて、少々の胸のきしみは耐えよう。