11月
15
つい先ほど
DVDを見終わった。「GO」
監督:行定勲、脚色:宮藤官九郎、撮影:柳島克己、主演:窪塚洋介。
昨日原作読んで、今日映画。
僕はちょっと緊張していた。オヤジが口を開いた。
「左腕をまっすぐ前に伸ばしてみな」
僕はとりあえず言われた通りにした。オヤジが続けた。
「腕を伸ばしたまま、体を一回転させろ」
「は?」
「足をその場所から動かさないで、どっち回りでもいいから回ってみろ。コンパスみたいにな」
オヤジの顔は真剣だった。僕はためらいながらも、左腕をまっすぐ伸ばしたまま、左回りに体を一回転させた。僕が再びオヤジとまっすぐ向き合うと、オヤジは言った。
「いま、おまえのこぶしが引いた円の大きさが、だいたいいまのおまえという人間の大きさだよ。その円の真ん中に居座って、手に届く範囲のものだけに手を出したり、ジッとしたりしてればおまえは傷つかないで安全に生きていける。言ってること、分かるか?」
僕はゆっくりと頷いた。オヤジは続けた。
「お前はそういうの、どう思う?」
僕はすぐに答えた。
「ジジくせえ」
オヤジはニカッという笑みを浮かべて、言った。
「ボクシングは自分の円を自分のこぶしで突き破って、円の外から何かを奪い取ってこようとする行為だよ。円の外側には強い奴がたくさんいるぞ。奪い取るどころか、相手がお前の円の中に入ってきて、大切なものを奪い取っていくことだってありえる。それに当たり前だけど、殴られりゃ痛いし、相手を殴るのだって痛い。何よりも殴り合うのは怖いぞ。それでもおまえはボクシングを習いたいか?円の中に収まっているほうが楽でいいぞ」
僕は少しもためらったりせずに、答えた。
「やる」GO / 金城一紀
映画の中でも、大切な台詞は原作に忠実だ。
こうやって書き出したくなる。
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