4月
02
年度の初め

こんな言葉に出会う。

朝日新聞 折々のことば 2016年4月2日

語ること、書くことは、ある経験を翻訳することであるが、その経験はしかし、それが紡ぎだす言葉のなかではじめて原典となる。

モーリス・メルロ=ポンティ

 言葉にならない経験を言葉で表現しようとするとき、人はそれを翻訳の作業になぞらえる。だが、外国語の原典もあくまで自言語を通して探るほかないように、言葉以前の経験も言葉として整えられてはじめて形をなす。経験に浸っているだけではいつまでもその経験の意味は明らかにならない。哲学者の講義要録集「言語と自然」から。(鷲田清一)

2016年4月、新年度当初に肝に銘ず。